Go climb a rock !!

美しいラインをシンプルなスタイルで登りたい!

ポジションかムーブかフィジカルか②

Take care of your OS ‼


結局何が足りなくて,その分を何で補ったのだろうか.それが分からないままでは,成長はできない...



先日,幻の光(3段/v10)を登った.
マントルで手詰まり感が否めなかったが,一気に進んだ.


そのきっかけはムーブとポジションの修正であった.
マントル上部に比較的かかりの良いポケットがあるのだが,リーチ的にパツパツなので勝手に中継ムーブしかないと思い込んでいた.そこで,体を上げるためにヒール位置の修正ばかりを繰り返していた.
しかし,ヒール位置をやや上部に変えたところ一気に体が上がらなくなった.


やはり,自分にはできない課題なのだろうか...そんな不安に飲み込まれそうになる.
(マントル以下のムーブは,もはやどこで落ちるのかわからないくらい,得意系なんだけど...)



奥のポケットまで手を出せるのではないだろうか.ふと思った.試してみようと.


ポケットに手を出す前に身体を岩に寄せるようなポジションを作ったところ,かなりの精度でポケットをとれるようになり,すんなりマントルを返せた.
これを機に完全につなげトライに切り替わったのである.


しかし,この日はヨレヨレになったので,ボルダーからマルチに切り替え,冬のいざないを登って帰路に就いた.
いつも通り頭の中は課題のことでいっぱいだった.完登間近になるといつも例の緊張感に飲み込まれる...



翌日,大学院で天気予報をチェックしていると,関東甲信は5/30に梅雨入りの予報が出ているではないか...
何が何でも前半シーズンに落としたいということで,日曜岩切符を切ってしまった.
(混むから嫌なんだよね)



<日曜日>
小川山に着くと曇り予報が一変,快晴に代わっていた.しかし,湿度が高くベストコンディションとは言えない状況だった.
恒例のラジオ体操をこなし,スラブと達筆3級でアップを済ます.


ホールドとシークエンスを入念に確認し,つなげトライを開始した.
1トライ目,上部ポケットを捉えた.しかし,左手をプッシュに返した後,右足が滑ってしまい落下.


2トライ目,少し興奮気味だったが,ルーフの下で深呼吸をして頭を冷やす.
スタートで滑って1度スカったものの,もう一度チョークアップをして仕切り直し.


落ち着いてスタートを切って,個人的核心のポケット取りも無事にこなせた.
後は,右足のヒールを慎重にスメアに切り替えて,マントルを返す.
無事完登!
朝9時前に宿題が片付いて,晴れやかな気分だった.しかも,忘却周辺はあまり混んでおらず,落ち着いて取り組めた.コンディションはいまいちだったが,押し切れて本当に良かった.



その後は,友人のビレイでバードウォッチングエリアに行き,やってなかったオオルリ5.9を登ったりした.


最後に少し時間が余ったので,石楠花エリアに戻りサーキット.
毎回なんとなく触っては登れていなかった,一筆(初段/V8)が秒殺できた.靴をセオリーにしたら例のキモい右足がめちゃくちゃ踏めた.ソフトシューズのほうが向いている課題なのだろうか.


偶然動画をとっていた方からムービーを頂いた.本当に感謝.
初段の中でもV8が付いている課題なので,素直に嬉しかった.


最後に扇岩で遊び,その日は終了.


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本題は何が不足していたのかってこと.
1つのムーブ・シークエンスに固執してしまうこと.それは間違いなく自分の欠点である.最初は圧倒的にフィジカルが不足していると思っていたが,そうではなかった.
自分に向いたムーブとポジショニングを見つけられるかが勝負だったのだろう.
もちろん,もっとフィジカルが強ければ,下部ムーブをバラした日にマントルまで押し切れていたのだろう.
V10レベルのムーブが,ビッグウォールで出てきたら...数日もかけてはいられない.
引き続きトレーニングを積んで,ポジション・ムーブを理解する力,そして押し切るためのフィジカルを養っていきたい.


次は何をやろうか.
黄泉?冬の日?
高難度トラッド,スポートもやりたいぜ!!


おわり

始まりのルート

始まりのルート,いや懐かしのルートだろうか.
誰にでもそんなルートがあるだろう.


僕にとってのそれは小川山,妹岩にある.


2021年秋頃,確か小川山に来たのは2回目だったかな.
まだ,裸足になってマラ岩の渡渉をしていた頃.(岩づたいに行けるのを知らなかった)


当時ジムでそこそこ登れていた?僕は小川山の10台くらいサクサク登れるだろうと高をくくっていた.


人気エリアということでマラ岩を目指した僕らは,何故か妹岩の「彩花(さいか)10d※」をチョイスした.
唯一空いていたのかな?


取りつきからルートを見上げると,浅いフレーク状のホールドが見え,どこでも持てそうだと思った.


しかし,不安定な下地とボルト間隔に少しビビっていた.
とは言っても10台!ということで,友人たちとリードトライを始めた.



結果は惨敗...
確か2~3ピン目のムーブすらできなかった.テンテンでなんとかTOした友人も,ルート右の大フレークに逃げた有様.


ルートファインディング力,ムーブ力,足置き,持久力,メンタル…etc
全てが不足していた,つまり完全な体たらくぶりを発揮したのだった.


そんな苦い思い出であり,自分は弱いんだと自覚させられたルートが彩花である.


それ以降,間違いなく彩花を避けていた.苦手系というイメージがどんどん脳内で増殖し,またできなかったらどうしようと思い,ためらう日々.
更には,アプロ―チの木登り&岩登りセクションも面倒くさいという言い訳から,ティックリストから抹消していた.



しかし,先日彩花と対面する機会が巡ってきた.
初日にボルダー&マルチでボロボロになった僕は,後輩のビレイで妹岩方面へ向かうことに.


全体的にしけしけで,乾いているルートが限られていた.
ふと周りを見渡すと,彩花が目に入った.


「彩花やるしかないじゃん!!」


久しぶりに対面した彩花は,少し小さく傾斜も緩く見えた.そして,以前ほどボルトが遠い感じがしなかった.


雨のせいか,全くチョーク跡の無い彩花は少し嫌らしかったが,無事RPできた.
今やってもムーブの組み立ては複雑で,花崗岩らしいシビアな足置きだと思う.
最後は右の大フレークに逃げずに浅いクラック状を直上したが,ピリッとしたムーブが待ち構えていた!!


彩花を原点に,ますます強くなっていきたい.


おわり
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※補足
彩花は2023年新トポでリグレードされている(10d→11a),最後に右フレークに逃げると10dらしい.
夢舞カップ女子予選ルートで初登された歴史あるルート.

目標ってなんだ??①

最近,同世代のクライマーたちと交流する機会があった.
集まったのは,大学山岳部という特殊な文化で育った奴らで,ほとんど全員が海外遠征経験者だ.


どこからともなくこんな話題になる.「なんか狙ってる壁とかあるのか?」
みんな口をそろえてこう言う.「海外のデカい壁登りたいよな!」
無論,僕の目標もそうだが,目指すスタイルに違いがあるように感じた.


ここにいた彼らの多くはいわゆるアルパインクライマーで,ヒマラヤやパタゴニアを冬壁的なスタイルで登りたいという.
僕はアルパインクライマーを自称するほどアルパインに精通しているわけではなく,それほど経験もない.


ふと思った.
自分の目標って何なんだろうか? 


目標なんてなくても趣味は楽しめるし,むしろそのほうが悠々自適な時間を過ごせるだろう.
でも,僕は目標を持つことの楽しさを知っている.

昨夏まで目標は「ヨセミテでビッグウォールを登る」,「壁でビバークする」という何とも抽象的なものだった.


しかし,遠征を終えて少しずつ洗練されてきた気がする.
でも,まだ完全な文言に落とし込めないので,箇条書きで.


・ビッグウォールをフリーで登る!もしくはフリー化する
・フリーソロクラスのハイボルダ―
・ラインが美しいボルダー
・高難度ボルダー
・クラックのオンサイト
・学業とクライミングの両立


目標なんて大きいほうが良い.途中でシフトしたって良い.


大事なのは,目標があればそのプロセスは充実するってこと!!!